転職の体験談
たとえば一九八六年に行われた「工場閉鎖による影響緩和対策協議会」に関するカンフェレンス・ボード調査に回答を寄せた五一二人の人材担当副社長のうち、実に四四%が、一九八二年一月以降に少なくとも一つ以上の施設を閉鎖したと報告した。
一九八六年中に集団解雇を実施する場合の極めて重要な要素は、解雇の実施計画とその内容をいつ、どのように発表するかということである。
まず、計画の説明をするときには、言葉の選び方を重視しなくてはいけない。
大規模な人員削減を行う計画を持っていた企業も含めると、この数字は五九%にまで跳ね上がったのである。
大規模な人員削減を断行しなければならない時には、どのように対処するのが一番よいのか。
企業はその方策を知っていなければならない。
アウトプレースメント会社は、個人を対象に施されるアウトプレースメントのノウハウを、解雇される集団全体に適応させた集団アウトプレースメント・プログラムを用意している。
このプログラムは、個人向けのプログラムほど個々に対し高い効果は期待できないが、個々人の将来に対して節度ある人道的なアプローチを提供することができる。
さらに、集団解雇に伴う会社への悪影響を最小限に押さえるのに役立つものである。
をしなければならないのか、その理由をはっきりと、真実を覆い隠すことなく伝えなければならない。
また一方で、事実を率直に述べるかわりに、それ以外の必要でないことをくどくどと言うことは避けるべきである。
さらに加えて、集団解雇を発表する際に一番重要なことは、すべての従業員に対して、すべてのことを一度に明らかにするべきだということである。
この場合の解雇の発表とは、解雇される従業員に対する具体的な通告も当然含まれている。
くどくどと社内の部門ごとに発表を行って、その決定が明らかになる過程を長引かせてしまっては、社内に不必要な混乱や不安を招く結果となりかねない。
かりにその会社が複数の事業所で解雇を実施しなければならない場合でも、できるなら同時に、時間をかけたとしても一週間以内に発表を完了させるべきだ。
一週間以上かけてぐずぐず決定内容を明らかにするやり方は、関係する人間の動揺を長引かせるだけである。
従業員は不安な気持ちを抱えたまま、次に呼ばれるのは自分ではないかと心配でたまらなくなる。
もちろん、このよくないニュースを伝える担当者たちも、非常に気の重い不愉快な仕事を繰り返し行わなければならない。
できるだけ一度に全体を発表し、解一雇する人にすべての決定を伝えてしまうのだ。
そうすることで、残りの従業員たちは解一展が自分たちに及ばないことを知り、不安から一応解放され、楽な気分で仕事に戻ることができるのである。
これは、会社の生産性を落とさないための最低限必要な措置なのである。
アメリカの大手企業が行ったレイオフを例に出そう。
その企業は全米二四の工場で大規模なレイオフを実施するために、われわれに助言を求めてきた。
できるだけ短期間に解雇を行うように進言したのだが、その企業は、全米二四の工場で一斉にレイオフを発表し手続きを遂行できるだけの人事担当職員を持っていなかったのである。
そこで、われわれは一週間で解雇を完了できるように綿密な計画を練った。
すぐに企業とチャレンジャー・グレイ・クリスマス社との合同チームが結成され、五つの別々なグループに分けられた。
各グループがそれぞれ月曜日に東海岸から行動を始め、アメリカを横断するように毎日別の地域へと移動しながら解雇の作業を行ったのである。
その結果われわれは、その週の終わりには解一雇されるすべての人たちと面談をすますこと大きな産業になればなるほど、そこで働く人々は集団解雇によって自分の仕事が失われたときに恐怖を感じる傾向にある。
「長く働いてきた業界で多くの人たちが解雇されている。
もうこの業界には仕事はない。
いったいどこで仕事を見つければいいのだ」といった話は多少本論をそれるが、ここで、巨大産業に身を置く人々が陥る錯覚について記しておこう。
そして翌週の月曜日には、企業は全社に向けてすべての解雇が終了したこと、つまり残った人々にはこれ以上何も起こらないことを宣言することができたのである。
残った社員は、心の動揺を多少残しながらも、比較的安心して仕事に戻り、そのうちの何%かは、会社の考え方を理解してくれたのである。
大規模な集団解雇という困難な仕事は成功し、その後の企業の生産性に与える影響を最小限に押さえることができた。
その背景には、社内の人材担当者とアウトプレースメント会社の問で綿密に練られた計画があったのだ。
業界からの疎外感を強く感じてしまうからである。
彼らは「隣の芝生は青く見える」症候群の人たちとは逆に、いままで働いてきた業界でしか仕事をしている自分を見いだせない不幸な人たちである。
もちろん、両者とも間違っている。
長年ある一つの業界で働いてきたのだから、その業界と一体感を覚えるのは自然なことだ。
ある特定の商品やサービスに思い入れがあればあるほど、別の業界で働くことなどは想像できなくなるだろう。
しかし、これは裏をかえせば、一つの業界に献身したことによって、自分の他の性質、別の可能性を見過ごしてしまっているのである。
現代の産業社会では、個人は自由に広大なジョブマーケットを利用できる。
そのためには、徹底的に自分の技能を評価し、その技能をいかに別の業界で活かすことができるかを想像することが大切になる。
たとえば金融サービス業界のブローカーは、本質的には営業マンである。
たとえ彼が金融サービスの業界で起きた大リストラによって職を失ったとしても、他の業界に移って営業マンとしてやっていくことは、十分に可能なのである。
これは、その人が働いてきた特定の業界という枠ではなく、職能という観点から、彼の仕事を見た結果である。
決して「隣の芝生は青く見え」た結果の業種変更ではなく、論理一人の例を出そう。
長年鉄鋼業界で働いて、非常にその業界に愛着を持っていた経理マンがいた。
彼は自分自身のことをまず「鉄鋼マン」であり、次に「経理マン」であると称していた。
彼の所属している工場は、不況の波に押されて閉鎖され、彼も解一展されて、当社の集団アウトプレースメントのカウンセリングを受けた。
カウンセリングでは、彼に対して職能という点から自分の仕事を考えるべきだということにかなった移行なのだ。
もし彼がブローカーとして過去に成功した記録を持っていれば、たとえまったく別の業界での面接であっても、将来の雇用主は喜んで彼の採用を考慮することだろう。
同じ論理は、研究スタッフや調査部員にもあてはまるだろう。
解一展された自分を、ある特定の業界の専門家としてではなく、職能的な専門家として位置づけアピールすることができるなら、将来の雇用主は、採用に際して、特定業界出身という枠を取り去って彼を評価することができるだろう。
会計知識はすべての業界で必要とされていることを説明し、他の業界からの求人を考慮するように簡単に指摘した。
彼は集団アウトプレースメントのカウンセリングに驚き、目からウロコが落ちたようだった。
長い間業界一筋に働いてきたため曇っていた彼の視界が、一気に開けたのである。
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